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終わらない師弟関係で「アカハラ」が深刻化…賠償命令出た「関西大訴訟」から考察
2018年05月02日 09時35分

関西大大学院の社会学研究科に在籍していた男性が、指導教員だった男性教授から、研究を中止させられるなどのアカハラ(アカデミックハラスメント)を受けたとして、教授と関西大を相手取り、計約600万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が4月25日、大阪地裁であった。大阪地裁は請求の一部を認めて約90万円の支払いを命じた。

判決は、教授が男性に労働組合での活動をやめるよう求めたことや、男性が大学院で実施していたフィールドワークをやめさせたことをアカハラと認定。ハラスメントの調査要請を受けた大学側についても「約2か月間、適切な対応を取らなかった」と指摘した。

今回の判決はどのような点で画期的なのか。他でも同様の問題が起きていると指摘されるが、どういった影響を与えうるのか。原告代理人を務める谷真介弁護士に聞いた。

関西大大学院の社会学研究科に在籍していた男性が、指導教員だった男性教授から、研究を中止させられるなどのアカハラ(アカデミックハラスメント)を受けたとして、教授と関西大を相手取り、計約600万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が4月25日、大阪地裁であった。大阪地裁は請求の一部を認めて約90万円の支払いを命じた。

判決は、教授が男性に労働組合での活動をやめるよう求めたことや、男性が大学院で実施していたフィールドワークをやめさせたことをアカハラと認定。ハラスメントの調査要請を受けた大学側についても「約2か月間、適切な対応を取らなかった」と指摘した。

今回の判決はどのような点で画期的なのか。他でも同様の問題が起きていると指摘されるが、どういった影響を与えうるのか。原告代理人を務める谷真介弁護士に聞いた。

●声あげるだけでも画期的

ーーアカハラとはどのようなものか、改めて教えてください

「アカハラは大学などの学内における研究上、教育上の上下関係を背景にして行われる嫌がらせや不利益を与える行為をいいます。簡単に言えば、パワハラやセクハラ、マタハラ等のハラスメントが学内で行われる場合です。

アカハラに限らずハラスメントは密室で行われることが多いため、証拠が残りにくいという問題があります。特に裁判所では、客観的証拠がなければなかなかハラスメントが認定されません。

また、アカハラ事案の特徴に、大学内、特に大学院生以上の研究の途につく場合、指導を受ける教授の地位は絶対的である点があります。教授に嫌われてしまうと、論文が通らなくなるなど、研究者としての道が事実上閉ざされます」

ーー会社のように部署移動による「避難」もしにくそうですね

「はい。労働関係におけるセクハラやパワハラ事案の場合には、部署異動等をきっかけに運良くハラスメントが終わる場合がありますが、研究の分野では異動等はほとんどなく、院生等が大学を移って研究を続けることも容易ではないため、師弟関係に終わりがありません。

そのため、指導教授から理不尽な指導や嫌がらせがあり、その証拠があったとしても、我慢せざるを得ないのです。このように不当なアカハラを受けた場合に、被害者が立ちあがることには数々の壁があります。

アカハラは相当数存在すると思われますが、裁判になる等表面化する件数が少ないのには、こういった背景事情があります。本件では、これらの壁を乗り越えて被害者が立ち上がったことだけでも画期的なのです」

●大学は相談を「放置」

ーー大学側は何か対応を取っていないのでしょうか

「アカハラが社会問題となり、本件の大学のように、アカハラについて被害者の申告があれば相談に乗ったり、学内で調査を行う制度を具備したりする大学も増えてきました。

これは一見すばらしいことのようですが、いわば身内が審査を行うため甘くなりやすく、本件でも、原告の相談は相談員に放置され、またその後の調査委員会の結論は『教授の行為は不適切だがアカハラとまではいえない』としてアカハラは認定されませんでした」

ーーそこで裁判という手段を選んだのですね

「はい。裁判所ではこれが覆り、教授や大学の行為の違法性が認定されました。学内の制度が機能していなかったことが司法で断罪されたのです。

ただ裁判は一つの手段ですが、やはり時間がかかります。学生や院生には通常、裁判に時間や労力はかけられません。アカハラをなくすためには、本件の大学のような学内機関ではなく、専門の第三者機関が早期にかつ適切に判断、対処できる仕組みが必要であると考えます」

(弁護士ドットコムニュース)

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